これまでのお話
その1
その2
その3
日が暮れて移民局の戸が閉まっても
彼女の姿はなかった。
守衛に聞いても、明日また来いと言うばかりである。
青年は、移民局の前で1夜を明かし
開局と共に、係員に聞いてみたのが、
ただただ、門前払いされるだけであった。
頼み込んでも何をしても、
移民局の対応は、ただただ素っ気なく
彼女が中にいるのかどうかさえわからなかった。
命を賭けて、混沌とした中国から連れ出した彼女と
自由の国であるはずのアメリカで
離れ離れになってしまい、
青年は気も狂わんばかりだった。
彼は、手当たり次第に助けを求め
最終的に、弁護士の力を借りて
1ヶ月後にやっと
移民局の拘置所に入れられていた彼女を
助け出すことができたのである。
彼女が何故移民局で足止めされたのか
今となっては、誰にもわからない。
のどかな故郷で、
何不自由なく育った彼女にとって
許婚が外国にいる間の
戦争勃発の不安、
その後、中国を脱出する際に目撃した
焼けただれた町や、戦闘、
道端に転がる犠牲者の姿
そして、気の遠くなるほどの船旅の後
言葉のわからない見知らぬ国での突然の拘留は
どんなに恐ろしい経験であったことだろう。
とりあえず、再会を果たした2人であったけれど
青年がヨーロッパから持ち帰った資金は
残りわずかしか残っていなかった。
つづく
6 件のコメント:
つづくんや。
おお・・・可哀想に~。
どんなに辛かったでしょうね。
言葉の分らない国で、わけもわからず拘留されて1か月。
彼女を案じる彼も同じくらい辛いでしょう。
で・・・続きは~~??
と、せかしつつ、でも、
完結するのが惜しくなってきました(笑)
意地悪な魔法使いが二人の幸せを妬んで仕組んだに違いない!
カエルの王子様は、いばらの道を歩むのだ~~~。
匿名さま
ふははー。
ぽてとさま
想像を絶しますです…。
カプメイさま
カエルが茨の道を歩むと~
魔法使いのおばあさんが
毒リンゴを売りに来て…
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