2013年10月14日月曜日

お財布の縁。(最終回)





これまでのお話

その1

その2

その3

その4




カリフォルニアには、知り合いは誰もいなかった。



若い2人は、悩んだ末

船の中で仲良くなったアメリカ人夫婦を頼って

ワシントンDCへ行く事にした。

何か困った事があったらいらっしゃいと

住所をもらっていたのである。



青年はなけなしの金をはたいて

アメリカ大陸を横断する汽車の切符を買った。



ワシントンDCでは、

突然訪ねたにもかかわらず

アメリカ人夫婦が

非常に快く迎えてくれた。



それだけではなく、

自分達の知り合いに職がないか

聞いて回ってくれ

ワシントンDCのとある大使館で

彼は執事として

彼女は、大使婦人のお針子として

住み込みの職を得たのである。



やがて戦争が終わった。



その頃、風の便りに

青年の父親がニューヨークにいる

といううわさが伝わってきた。



2人は、大使が自国へ帰るのを期に

ニューヨークへ移って

青年の父親と再会したのである。



父親がヨーロッパから持ってきた資金を使い

彼らは、小さな貿易会社を

怪獣ケーキの店の近所に構えた。




IMAG0009.jpg
当時は怪獣ケーキはなかったと思うが、実は老舗なお店である。



ミセス・チェンは3人の子供に恵まれ

その後、穏やかで幸せな人生を

送ったのだった。



お財布が、どんぶらこっこすっこっこと

川を流れてこなかったら

ミセス・チェンは、ご主人と結婚することはなく…

私も、ミセス・チェンと

怪獣ケーキ屋さんの前で

立ち話をすることもなかっただろう。



縁は異なもの。である。






16 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

怪獣のケーキのお店を!!
すごいなあ。幸せになってよかった。

匿名 さんのコメント...

店をじゃなくって隣ね。

とさこ さんのコメント...

縁と運って、いったい何なのでしょうねえ
いろいろ考えました・・・

良いお話を教えていただいたなあ!

カプメイ さんのコメント...

あぁ~ん、大きな葛籠を選ぶとパンダが出てきて、小さな葛籠からはかぐや姫。。。って話だわ!

アメリカって、「困ったら連絡してね」を信じていい国なんですね。
人に歴史ありだなぁ。。。

匿名 さんのコメント...

毎日、待ち遠しかったです!

ぷろとん さんのコメント...

たびささんがあめーりかに行ってくれたから、私達がこのお話を読むことができたのですね。

ぷろとん2 さんのコメント...

親の決めた許婚。ですが、
よいおつきあいをしていたのですね。
すてきです。

ぽてと さんのコメント...

おお、素敵な物語でした。
人生って本当に運や出会いなんですね~。
それを生かして頑張ったから、今の人生がある。
親が行き当った偶然と誠実な生き方が、子供に継がれて、更に愛と真心と努力が結ばれて、孫たちへ継がれていったのね。
いいお話をありがとう。

私も主人と出会わなかったら、子供は勿論、4人のこの孫たちは存在していなかったし・・。
その前に私の両親と主人の両親とが結婚していなかったら・・
もちろん私たちも存在していなかったと思うと、今ある命は本当に不思議なものだと思います。

Tabitha さんのコメント...

匿名その1さま

>怪獣のケーキのお店を!!
>すごいなあ。幸せになってよかった。

>店をじゃなくって隣ね。

ミセス・チェンが
実は、怪獣ケーキ屋さんの
おかみさんだった!!

というお話だったら
もっと面白かったですよねぇ…。 笑

Tabitha さんのコメント...

とさこさま

>縁と運って、いったい何なのでしょうねえ
>いろいろ考えました・・・

>良いお話を教えていただいたなあ!

本当に縁も運も不思議ですねぇ。
ミセス・チェンは本当に人柄がよかったので
困難な時代でも
よい縁やよい運が開けていったような
そんな気もします。

Tabitha さんのコメント...

カプメイさま

>あぁ~ん、大きな葛籠を選ぶとパンダが出てきて、>小さな葛籠からはかぐや姫。。。って話だわ!

>アメリカって、「困ったら連絡してね」を信じていい国なんですね。
>人に歴史ありだなぁ。。。


どんぶらこっこすっここと流れてきた桃から
カエルの王子さまとかぐや姫の物語ですわん。

アメリカは、日本よりも気軽に
友人の家に泊まりあうことも確かなのですが…

このアメリカ人夫婦、長い船旅の間に
人柄の良い、この夫婦に魅せられたんでしょうねぇ。

Tabitha さんのコメント...

匿名 その2さま


>毎日、待ち遠しかったです!

大変お待たせしましたー。 笑

Tabitha さんのコメント...

ぷろとん

>たびささんがあめーりかに行ってくれたから、
>私達がこのお話を読むことができたのですね。

>親の決めた許婚。ですが、
>よいおつきあいをしていたのですね。
>すてきです。

そうそう。親の決めた許婚だけれど
命を賭けて、助けに行くのよねん。

ご主人にお会いした事はないけれど
3人の子供さんを見る限り
ご主人も素敵な方だったんだろうなと
想像してます。

Tabitha さんのコメント...

ぽてとさま

>おお、素敵な物語でした。
>人生って本当に運や出会いなんですね~。
>それを生かして頑張ったから、今の人生がある。
>親が行き当った偶然と誠実な生き方が、
>子供に継がれて、更に愛と真心と努力が結ばれて、
>孫たちへ継がれていったのね。
>いいお話をありがとう。

>私も主人と出会わなかったら、子供は勿論、
>4人のこの孫たちは存在していなかったし・・。
>その前に私の両親と主人の両親とが結婚していなかったら・・
>もちろん私たちも存在していなかったと思うと、
>今ある命は本当に不思議なものだと思います。

本当に不思議ですよねー。
こうやって、一度も行った事のない北海道の
ぽてとさんと
コンピュータの世界を通して知り合って
お話しているというのも、
不思議なご縁ですよね。


tom☆ さんのコメント...

こんばんは~♪
遅ればせながら・・ってゆーか初回からドキワクさせて頂いてたんですが~たまたまコメントが出来ないシチュエーションだったので~
なんか(遅いよ!)感が無念なんですが~とっても素敵なお話に心温まりました☆

絶対ぜたい!! ミセスチェンさんは気性以外も素敵な方なんでしょう!!
・・ってゆーか、絶世の美女を想像してるのは・・私だけ?
だって【傾城の美女】の産地でっせ!!~~~逆も真・・でしょ☆

Tabitha さんのコメント...

tom☆ さま

>絶対ぜたい!! ミセスチェンさんは気性以外も素敵な方なんでしょう!!
>・・ってゆーか、絶世の美女を想像してるのは・・私だけ?
>だって【傾城の美女】の産地でっせ!!~~~逆も真・・でしょ☆

ミセス・チェンは、かっこいい美人のタイプではなくて
かわいい美人タイプ。
なんていうかな、ぎゅーって抱きしめちゃいたいくらい
かわいらしい方。

若いときの写真も見せていただいたけれど
本当に、チャーミングなかわいーい顔でした。