これまでのお話
その1
その2
その3
私が学生時代に住んでいたそのアパートは
たぶん1920年代に建てられた建物で
天井が高くて暖炉があり、
日当りも風通しもよい、居心地のよいアパートだった。
アパートの居心地は良かったけれど、
建物の手入れの状態はあまりよくなく
しょっちゅう、色々な問題が起こり
大家とのトラブルは日常茶飯事だった。
私は、不動産屋をやっている友人がいたので
色々と入れ知恵してもらっていたこともあり
問題がある度に、かなり強気に大家と交渉し
決して、泣き寝入りはしなかった。
大家は、別の場所に住んでいて
家賃は小切手を郵送していたし
日常的に会うのは管理人さんであったので
大家さんそのものに普段会う機会というのは全くなかったのだが
その強気の交渉の時に、私は大家のオフィスを訪ね
顔を見ていた。
私が保管していた、アパート関係の書類には
そんな交渉の記録もすべて入っていた。
FBIのF氏は、私の持っていった書類に目を通し
私に、1枚の写真を見せた。
その写真には、私が見たことのある大家の顔が写っていた。
これが、LP氏。
キューバのマフィアだ。
F氏は言った。
知らぬが仏とはよく言ったもので
私は、マフィアとは知らずに
果敢にも、大家にガンガンに文句を言っていたのだった。
ご多分にもれず、LP氏は
法の網目をかいくぐるのがうまいらしく
どうしても、大きな犯罪の尻尾をつかめない。
そこで、マフィア逮捕の常套手段である
脱税容疑で逮捕しようしているのであった。
私に白羽の矢が当たったのは
私が、運転免許やら、学生証等を
そこの住所で作っており、
その記録があるにも関わらず
監査時に押収したアパートの賃貸リストには
私の名前が見当たらなかったかららしい。
ニューヨークには、
端的に言えば、
「かなり昔から住んでいる人々の家賃を勝手に上げてはいけない」
という特別な法律がある。
この法律のために
新しい住民が30万円の家賃を払っている隣の部屋で
昔からの住民は8万円の家賃を払っているというような
そういう現象がおこる。
その大家は、昔から住んでいた人々が
そのまま住み続けているように見せかけて
新しい住民から取った家賃の差額を
自分のポケットに納めていたらしい。
その、脱税対象になった住民は何人もいたのだが
大家に実際に会ったことのある人物、
そして、その記録を全部残していた人物は
私以外にはいなかった。
「裁判で証言してもらう事になるかもしれない。」
と、FBIの捜査官は言った。
マフィアの裁判なんかで証言したら
逆恨みに何をされるかわかったもんじゃない。
そんなのは、まっぴらごめんである。
つづく
ただいま、庭のラズベリー、食べ放題中。
8 件のコメント:
すごい!すごいぞ。この話は売れる。
いやいや、そうじゃなくて、
私もあちこちで喧嘩をして、いや正論で戦ってきてますが、これほどの経験はないです。
映画みたいだ。
たびささんの役はジュリア・ロバーツでどうですか?
カプメイさま
いやいや、映画になるほどの
お話ではないです。
ジュリア・ロバーツは捨てがたいですけれど。 笑
ジュリア・ロバーツ!!
さんせい~~♪
マフィアと直接掛け合ったお方と、私はお話しているのね!
興奮しますっ!!
次はいよいよCIA登場ですね!
いやそれともCSIかなーーー♪
証人保護されちゃうとかーーー☆
ぽてとさま
そんなにかっこよく
掛け合ったわけではございません。 笑
エラソーな人だったけれど
マフィアですと、顔に書いてなかったから
わかんなかったんですよねー。
奥様は、イメルダ夫人みたいな人でしたが。 笑
Tom☆さま
いやいや、このお話は
完全に尻すぼみで終わります。 笑
早く続きが読みたい!!!(^^)
KAKKON さま
ぎゃーすみません。
鋭意執筆中です…。
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