子供の時、
グリム童話は、ただのおとぎ噺だと思っていた。
ラプンツェルのお話も
桃太郎のような、架空の話と同列に考えていて
人間を高い塔に閉じ込めるなんて
ただの作り話だと思っていた。
しばらく前、2010年に
ドイツの小さな小さな町へ知り合いのバーバラを訪ねた時
ビュルツブルグの駅まで迎えに来てくれた
バーバラ が
せっかくだからビュルツブルグもちょっとだけ見ていく?
とマリエンベルグ要塞に連れて行ってくれた。
門をくぐり、中庭に出ると
窓が殆どない、
恐ろしげな塔がそびえたっている。
↑ バーバラ
「あれは、ラプンツェルの塔?」
私がつぶやくと
バーバラはにっこりわらって
「そうよ。」
と言った。
「ただ、ラプンツェルと違うのは…
ラプンツェルは、塔のてっぺんに住んでいたけれど…
昔は、この塔には、あのてっぺんの窓以外に入り口がなくて
囚人は、あのてっぺんのところから、階段も逃げ道もない
一番底の「恐怖の部屋」まで吊るされて下ろされて
真っ暗な「恐怖の部屋」の中で一生苦しんだのよ。
一度入ると、二度と出てこれないわね。
ラプンツェルみたいに、
外を眺めてお気楽な身分とは違うわね。」
嗚呼、事実は小説より恐ろしすぎる。