ついでに、その辺をうろうろしていたら
アフリカのカゴ屋さんが目に入った。

大小色々なカゴがあったが、
一番大きなカゴが、
ちょうど必要だと思っていた洗濯物入れに
ちょうど良いなと思って、
ちょっとだけ立ち止まった。
でも、手に焼きとうもろこしを持っていたし、
その場は、そのまま家に帰った。

夕方近くになってから
やっぱり欲しいと思ったので
もう一度でかけていったら
お店の女性が話しかけてきた。
「ねぇ。貴方、さっきも来たでしょう。」
と言う。
一通り、全部の品物を見たけれど
一番最初に目に入ったのが一番よかったので
「これにする。」と、言うと
女性が、「点検するからちょっと待ってね」という。
彼女は、中や外をじっくり眺めて
カゴの口のところに、小さなささくれを見つけると
「ここ、直すからちょっと待って」と言って、
カゴの材料を出してきて
ささくれの部分を少しほどき
巨大な針で、ささっと綺麗に縫い直してくれた。
「このカゴはどこから来たの?」と聞くと
「セネガルよ。知ってる?」という。
ちょうど先月パーティで、セネガルのヒマ君から
セネガルについての講義を受けたばかりだったので…
(本当は先月まで、セネガルがどこにあるか知らず、
有名なダカール・ラリーのダカールが
セネガルの首都だったことも知らなかったくせに)
誇らしげに、「アフリカの最西端の国。」
と答えた。
女性は、もう一度バスケットを点検してから
「私の名前はファタオ。あなたの名前は?」
と言った。
名前を言って握手に応えると
「夏中、店を出してるわ。また会えるといいわね。」と
真っ白な歯を見せて笑った。
ファタオに支払いをしている時に
お店の男性がやってきてバスケットを袋に入れてくれたのだが
入れるときに、底をみたら
色の違う小さなカゴが入っていた。

盗もうとしたと思われるんじゃないかと思い、
かぁっと顔が熱くなり、慌てて
「ああ、ごめんなさい。知らなかった。
見えなかったの。」
と言うと、彼は笑って
「これは、君の運だよ。君は運がいいんだ。
このカゴは、君の家に行く運命なんだよ。」
と言って、
小さなカゴを大きなカゴの中にそっと戻して
袋の口をしめた。
ファタオを見上げると、笑っている。
ファタオは、点検しているときに
小さなカゴが入っていたことを知っていたのだ。

この手のアフリカのカゴは
高級なデザインストアやらデパートやら
はたまたディスカウントストアやらでも売っていて
ものすごく珍しいものではないのだけれど
それまでの私にとっては、
遠いアフリカのどこかからきたタダのカゴだった。
ファタオが慣れた手つきで
カゴをなおしているを眺めていたら
セネガルで、女性達が同じように
手でカゴを作っている光景が見えてきた。
作っている人の顔が見える買い物はいいものだ。

